磨き
"磨き"とは
『磨き』とは文字通り『車を磨く』ことです。
我々の業界用語であり、車のボディ塗装面を磨き、まさに鏡面のように仕上げていくことです。一見して、コーティング剤の光沢や艶に目が向きがちですが、実は基礎となる下地作りが最も重要なのです。これは車だけに限らず塗装を施すいろいろな作業に通じることです。家や壁のペンキ塗りでは、木材はカンナを掛けて木目を出し、場合によってはペーパーを当て塗料やニスを塗ります。また、家のクロスやフローリングなども出来映えはやはり下地が左右しています。ボディの下地づくり=磨き作業が専門店として技術の見せ所です。
磨きが疎かでは
コーティング効果が期待できない。ボディコーティングを施すうえで、実際は凹凸がある塗装表面にそのままコーティングをしても定着しにくいため、はがれやすくダメージから塗装を保護する効果も薄れます。 また光沢も固着物、洗車キズが多ければ映り込みは“深み”を欠き、細キズは乱反射を起こします。
その結果、本来、塗装の持つ重厚な光沢が埋もれてしまいます。
どんな素晴らしいコーティング剤を用いても本来の輝きは期待できません。磨きを疎かにすれば原石のままの宝石と同じようなものです。
塗装に応じた磨き技術
車磨きの仕事は塗装の上塗りクリア層のダメージ「スクラッチ、線キズ、付着物・・・」を研磨して美しくする作業です。クリアー層30μ~40μ(メーカー、車種で異なります)での繊細な作業です。 新車に於いてはクリアー層の中でも表面から10μ程が非常に硬い層でできています。この硬いクリアー層部分を維持することが塗装を長期に保護することにつながります。 薄くて硬い高性能な塗装技術に変わっていくなか、塗装の質感を損なわない塗装に最良な磨き技術が求められていると考えています。
「昔の塗装」と「今の塗装」と「磨き」
ソリッド、メタリック、パール・・・塗装に種類がありますが、最近はソリッドもトップ層にクリア塗装が施されています。一昔前の塗装は耐候性があまり良くなく、メタリック車などはボンネットやルーフのクリアー層が剥がれてパリパリになっている車を見かけました。 塗装が痩せる対策として昔の塗装は厚く塗り耐候性の悪さをカバーしていたようです。クリア層も厚く塗られ、おまけに今ほど硬度も硬くなく柔らかいのでレンズ作用で雨などの水玉がカラーベースを焼付けウォータースポットができやすかったようです。塗装が厚くて柔らかい分、キズが付きやすく、逆に言うと磨きで取れやすい。磨きでキズが取れると言うことは塗装が柔らかいということです。
最近では自動車塗料、塗装は環境に対応することが世界的に強く求められ大きく変わってきました。環境に優しいとされる水性化、粉体化に向け積極的に開発が進み、薄くて硬い塗装に変わってきています。擦りキズが付きにくい硬いクリアもあります。粉体塗装は、塗料を20ミクロン程の細かい粉末状にして静電気でボディに付着させて熱を加えることで膜厚のある塗装面になるそうです。また粉体塗装の場合は余分な塗料は回収され再利用できるそうです。磨きでキズを取り、鏡面に仕上げだけの時代は過ぎました。
新車の下地処理が必要な理由
新車とはいえ車も製造されてから納車までには日時を経過するのは当然です。その間の保管状態、輸送時の天候、その天候下でのダメージ、また輸入車に於いては長期の海上輸送による塩分や湿気など塗装に悪影響となる環境が避けられません。自動車メーカーでもこういった保管輸送時の酸性雨、砂など自然悪影響から守る対策を施すため、ボディにビニールなどでラッピングしている車も多くあります。しかし塗装に良いとはいえません。ボディに密着したビニールと塗装の間に湿気が入り、塗装面が白くボケたり、湿気部分が膨張していることも少なくありません。 良心的なディーラーさまではお客さまにベストな状態で納車するため、私どもに新車磨きをご依頼くださります。
新車でもダメージはあり
写真は新車の納車前のビニールラッピングされたベンツです。ビニールラッピングを取り外すと写真のようにボディの塗装表面が膨張してしまっているのがお分かりいただけます。せっかく保護されたボンネット面ですが、これは密着面と隙間に入る湿気のせいです。新車ですが磨きによる復元が必要となります。
経年車も美しく
独自工法のポリッシュ&コーティングにより、本来の艶を復元、新車に戻ったかのような見違える美しさに仕上げます。カービューティ・ファクトリーではボディの塗装の状態を見極め、最善を尽くしていきます。さまざまな光加減で磨きキズの乱反射がないボディを目指します。